映画「ザ・ゴッドファーザー」で残念なところ
ゴッドファーザーを観ていて笑えるシーンがある。ソニーが義理の弟をボコボコに殴るシーンで、一見迫力はあるが、よく観るとパンチが空をきっている。
もちろん演技なので本気で殴るわけにはいかないのだが、寸止めでもなく全然当たってないのに、やられているほうはオーバーに吹っ飛ぶ。しかもこのシーンの撮影でやられているほうは肋骨を折ったという話。
余談だが、この気性の激しいソニー・コルレオーネ役のオーディションにロバート・デ・ニーロも応募していた。
マイケルがシチリア島で地元の女性と結婚をしたが、護衛が敵対ファミリーに寝返り、マイケルを殺そうと車に爆弾を仕掛けマイケルの妻は爆死する。その護衛は爆弾を仕掛けた後、逃げ出すのだが、それ以降その護衛は登場してこないのに違和感があった。
あれだけの裏切りをした者に対し、報復するシーンがあってもいいのではないかと思っていたが、実際には報復のシーンを撮っていて編集段階でカットされていたと知る。編集上でいろいろ制約があるとは思うが、個人的にはカットしないで欲しいところである。なにせ他の裏切者は皆、処刑されているんだから。
映画「ザ・ゴッドファーザー」で有名な台詞
この映画で有名な台詞はドン・コルレオーネとマイケル・コルレオーネがそれぞれ言い放つ『私は彼らに対し、断りきれない申し出をするつもりだ』というものだが、私が一番好きな台詞はマイケルが実の兄フレドに向かって、ファミリーの敵対関係になりつつある者の肩を持とうとした時に言った言葉『フレド、あんたは俺のアニキだし大好きだ、だがファミリーに盾突く者の肩は持つな、絶対に』というものである。
これはマイケルがドン・コルレオーネの後を継ぎ、メキメキと頭角を現している時の言葉である。この辺りからファミリーを守る為、冷酷な性格を前面にマイケルは出していく。
最後にマイケルの妻ケイが、マイケルに義理の弟を殺したのかと詰め寄るシーンで、マイケルはファミリーの事について口を出すなと激しく言うが、一度だけ真実を答えてやると 言い、『やっていない』とケイに対し答える。ケイは安心するが、マイケルに対しファミリーの幹部達が敬意をもって手の甲にキスをし、忠誠を誓っている状況を見て、ケイは唖然とし、マイケルが嘘をついたことを知り幕を閉じる。
ファミリービジネス(組織犯罪)を一番嫌っていたマイケルがファミリーを継ぎ、父親を凌ぐ程、冷酷になっていく様を描いている。この最後のシーンがある意味一番恐ろしい場面だと感じる。
ゴッドファーザーという言葉は、この映画で広く認知されることになった言葉だと思うが、そもそもの意味は『名付け親』という意味である。名付け親とは親しい友人の子供の洗礼式において、宗教上の名を付けるという事で、マイケルも映画の最後で妹の子供の名付け親になっている。決してマフィアの頂点を指す意味ではない。
この映画は色々な賞を受賞することになるが、ノミネートされたが取り消しになった部門の賞がある。ニーノ・ロータの音楽についてであるが、映画的に観れば素晴らしい音楽の数々だったが、あの有名なゴッドファーザーのテーマと呼ばれる楽曲は、以前別の映画で使用されたことがある為だった。
?映画「ザ・ゴッドファーザー」は、この他の映画より一度観ただけで内容を十分に理解するのは難しい映画であると思える。ただ一度観れば、この映画をもっと理解しようと再度観る気を起こさせるような映画でもあると言える。